えいとの投資家ブログ

2022年に投資法人設立。23年、裁量トレード年利133%。猫とスプラが好き。 *当サイトの記事内には広告を含みます。

①投資を法人化するメリットとデメリットとは?お得なのはどっちか-税金編-

 前回は、投資を法人化することでどのようなメリット、デメリットがあるのか?について項目をまとめましたが、今回は特に気になっていた結局費用的にお得なのはどっち?について-税金編ーとして調べてみました。法人化を検討している人はぜひ参考にしてみてください。結果が気になる方は5.まとめからご覧ください。

利益額の設定

 法人と個人でどのくらい税金や社会保険の費用が違うのか、サラリーマンをしていてあまり意識してこなかった部分を調べていきたいと思います。まずは利益の額の設定です。今回はFXや株で利益を得るものとしてその額を年間500万円と設定しました。

 経費はトレードをするのに必要な費用です。例えばPC代や通信費、投資セミナーに行く費用などが該当します。また、法人ですと会計ソフトの費用なども入ってきます。少し多い気がしますが一旦年間55万円としました。後で述べますが、結局はこの経費をどこまで使うかによって法人と個人の最終的な利益が変わってきます。

 次に(a)社会保険です。社会保険とは年金と健康保険で、サラリーマンの給与明細を見てみると厚生年金、健康保険として金額が記載されていると思います。実はこの金額、本人の支払いと同額を会社が支払ってくれています。つまり、実際には倍額払っているということです。法人化すると会社が支払っていた分を自分の会社から支払うことになります。その金額は法人から自分に支払う報酬額によって変わるのですがここでは(b)報酬額を300万円として、計算された社会保険料(法人負担分)を45万円とします。

 法人としては500万円の利益から経費55万円、社会保険45万円、役員報酬(自分の給料)300万円、を引いて(c)営業利益として100万円が残ります。利益額としては役員報酬の300万円と法人の営業利益100万円を合わせて400万円です。 

 一方、個人は計算が簡単で500万円の利益から経費55万円を引いた445万円が利益額になります。この時点では社会保険の法人負担45万円の分だけ法人化した方が利益が少なく見えるのですが、ここから法人利益に係る法人税役員報酬および個人の利益に係る所得税などが引かれます。まずは法人利益に係る税金を見ていきます。

法人の利益にかかる税金

 サラリーマンは給料から所得税や住民税が引かれていますが、(c)法人の営業利益にも同じように法人税や住民税がかかります。その金額は資本金や利益額によって変わり、今回の条件で計算をすると下表のようになります。都道府県民税は神奈川県、市町村民税は川崎市の場合で作成してみました。

 合計36.1万円なので約36%位が税金として持っていかれる計算です。それにしても地方法人税とか事業税とか名前を変えていろいろ税金取られるのが重いですね。

個人の利益にかかる税金

 法人から自分に支払う報酬(給料)300万円には所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。一方、個人でFX、株取引をして得た利益445万円にも同様に合わせて20.3%の税金がかかります。

 合計額を見ると大きな違いに気が付くと思います。ここが非常に大きなポイントで、個人の所得税、住民税も割合としては合わせて約20%なのですが給与所得控除や所得控除というものがあり、給与収入300万円から各種控除を引いた課税所得に対して税率20%がかかります。一方、FX、株の税金は分離課税で利益500万円から経費55万円を引いた利益総額445万円に税率がかかりますので税額が大きくなります。

 令和2年以降の給与所得控除は以下表で計算できます。(国税庁HP)

 今回の場合は給与収入が300万円なので給与所得控除額は300万 x 30% + 8万円で計98万円が収入額から引かれます。また、所得控除には以下のようにたくさんの控除があります。

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除 (国税庁HP)

 社会保険料が控除されることと、持ち家の方は地震保険料なども控除されますしこの所得控除がジワリと効いてきます。今回の計算では社会保険料のみ控除をしていますが、その他の控除が使える場合はさらに税額を減らすことができます。

 この所得控除の効果が非常に大きく、給与にかかる税金は17.7万円ですが、個人の利益に係る税金は90.4万円となります。

個人の利益にかかる社会保険料

 社会保険で今回考慮するのは年金と健康保険です。法人の場合は役員として厚生年金に加入することとなります。厚生年金の保険料率は18.3%で、個人と法人で半分ずつ負担します。次に健康保険については協会けんぽの料率を利用します。神奈川県、介護保険第2号被保険者に該当する場合で11.49%です。こちらも同様に半分を個人負担として計算すると社会保険は約45万円となります。この金額と同額を利益額の設定の項目で法人として負担していたんですね。

 次に個人の場合、年金は国民年金に加入します。現在の負担額は1.66万円/月です。また、健康保険は国民健康保険に加入します。金額は各市町村にて定められており計算が少し複雑なのですが、割合にすると約12%ほどが負担額となります。

 個人負担分だけで見ると役員報酬分は45万円で少なく見えますが、法人の45万円を加えると90万円になるので、個人で入った方が金額は安くなります。しかし、健康保険が掛け捨てのような費用である一方、年金は将来の自分の年金支給額に効いてきます。厚生年金は受け取れる金額が国民年金の2倍近くになると言われていますので、この金額差であれば法人化も悪くない選択だと思います。

まとめ

 はじめに設定した(b+c)利益額から支出として各税金と社会保険料を除いた利益総額は法人が301万円、個人が280万円となり法人の方が21万円お得という結果になりました!

 ただ、経費の部分の考え方でこの利益額は大きく変わってきます。今回は法人と個人の経費を同額としましたが、実際は法人の方は会計ソフトなど個人ではかからない経費がありますので、法人の方が経費が大きくなります。一方で、法人では会議費で食事代を経費として落としたり、交通費を経費として落とすこともできます。その分は税負担を減らすことができますので、経費の幅が広いというのは法人に有利です。私の中では、法人でも個人でも大きな利益差はないが、経費をうまく使えば法人の方が利益額は大きくなる!と結論付けたいと思います。

 内容をより詳しく知りたい人は以下の本がメリット、デメリットがうまくまとまっており、また法人の設立の仕方も概要が載っておりおすすめです。

(注)本サイトの計算例は、税額等を便宜的に計算していますのであくまで参考としてください。税金は複雑な条件もありますので、ケースによっては税理士など専門家にご相談ください。